メスアカミドリシジミは残念ながら大阪市周辺では見られません。京都の北山などにはいるようです。札幌市郊外でもいるそうです。花見の主役のソメイヨシノにも産卵の可能性があります。飼育には問題ありません。それにしても、これだけサクラが植えられているのですから、これを食べる蝶が都市部にもいてもいいのにと思ってしまいます。もっともいろんなガが利用して、多くの人が嫌いな“毛虫”の食樹になってはいるのですが。いわゆるサクランボは同じサクラ属ですが花を観賞することはあまりないようです。推測ですが、メスアカミドリシジミやカラスシジミの飼育には問題ないと思われます。ソメイヨシノは実を付けず、最近街路樹等で食祭が増えたヤマザクラやオオシマザクラは実を付けます。食べてみましたがまずかったです。

サクラランは奄美大島以南では自生していてアサギマダラの食草になっていますが、ごく普通の園芸屋にも観葉植物あるいはハイドロカルチャーとして安く売られています。写真で紹介しているのは\298で買ったものです。伊丹の昆虫館でもよく探せばマダラチョウ科の卵が見つかるでしょう。もっとも、園芸屋で売られているものがアサギマダラの食草になるかどうかはまだ試していませんし、売られているものにはいろんな系統があるようです。花はきれいですし、これでちゃんと育てられればすばらしい食草ですね。挿し木で簡単に増えるようです。

ササと言っても非常に多岐にわたるようですが、私には区別できません。蝶の方もほとんど区別無く生育できるそうです。花はめったに咲かないと聞きましたが、よく咲くようです。北アルプス大日岳を縦走しているときに見つけました。

本来“植物”を紹介するページですが、日本産チョウ類で唯一純肉食性のゴイシシジミが利用する動物（昆虫）ですので、ササコナフキツノアブラムシを紹介することにしました。名前どおり、ササやタケの葉に付き、粉をふいたように白い粒子（長方形のロウ物質）をまとうアブラムシですが、角がどこにあるのかあるいはどれを指すのかは筆者はわかっていません。今までの経験では、このアブラムシを見つけるとたいていゴイシシジミも見つかるので、ゴイシシジミの嗅覚はすごいなと思います。逆にゴイシシジミを見つけると近くのササやタケの葉の裏には必ずこのアブラムシが見つかります。通常は翅がないですが、冬になる前に有翅型が出てきます。日本生態学会全国大会 ESJ54 講演要旨（2007）によれば、不妊の兵隊カストを産出する真社会性アブラムシで、１年を通してササの葉裏にコロニーを形成し生活します。本種を捕食するスペシャリスト天敵としてゴイシシジミ以外にセグロベニトゲアシガの２種が知られており、これら捕食者に、兵隊カスト（階級）は一定の防衛効果を持つことが示唆されているそうだ。飼って見ていると、ゴイシシジミが一方的にアブラムシを食べているように見えるのですが、多少は反抗しているのでしょう。ゴイシシジミのページも参考にしてください。

サツマイモはリュウキュウムラサキの主要な食草ですが、リュウキュウムラサキはいろんな型があり利用できない場合もあるそうです。その場合にもアオイ科フユアオイを利用するとのことです（ゆずりはクラブ(120)）。サツマイモはもちろんあの焼き芋にするサツマイモです。本州ではこれを食べる蝶はいませんが、八重山地方や、秋の九州以南ではリュウキュウムラサキが発生することがあります。サツマイモはこどもの芋掘りに活躍しますが、あまり花が咲きません。ヒルガオ科が示すように、朝顔のような花が咲きます。短日期間が長く且つ気温も高いという条件がないと咲かないということで、九州以南でないとなかなか咲かないそうです。“サツマ”を主張しているようで面白いです。2010年9月、念願の花を見ることができました。この年の夏は猛暑で、そのお陰かもしれません。

ルリタテハは、都会ではユリ科のホトトギスなどを利用していますが、郊外ではサルトリイバラを利用している場合が多いようです。服部緑地でも卵を見ました。猿も引っかかるという棘がありますが、山に行けば、このくらいの棘はまだ優しい方でしょう。名前も見た感じもユリ科という感じがしません。また木というより蔓草という感じです。雌雄異株だそうです。ルリタテハのページも参考にしてください。

サンゴジュは珊瑚の樹という意味ですが、それは果実または果実を支える枝が赤くなることから、珊瑚細工になぞらえたのでしょう。街路樹や垣根として植えられていますが、これは冬にも水を多く含む葉が防火に役立つからのようです（要出典）。サツマシジミの幼虫はサンゴジュの蕾に擬態すると言われています。私はまだサンゴジュを食べるところを見ていませんが、いつか見つけてみたいと思っています。

サンショウ（山椒）は、料理では木の芽としてお吸い物などに使われ、また実は香辛料としてよく使われるおなじみのものです。ですから庭に植えていると重宝しますが、アゲハがすぐに卵を産んでしまいます。こういう言い方をするとアゲハを害虫として扱う感じですが実際にも卵を産ませる木としては非常に有効ですが、そのままにしてしまうとすぐにはがなくなり、木も枯れてしまいます。そういう意味で、サンショウだけを単独で植えるのではなくミカン類も一緒に植えて、アゲハ類を育てるのはミカン類を使いましょう。なお、鰻の蒲焼や七味唐辛子の材料なる香辛料（粉山椒）として使われるのは熟した果実の皮の乾燥粉末です。有効成分はぴりりと来るサンショオール、サンショアミドなどです。サンショオールには局所麻酔成分があり、舌が麻痺した感じになります。一方で味覚を鋭敏にするといわれています。それにしても、こういう物質を無害化できるアゲハは大したものです。

シオデというのはあまり聞いたことがないですが、アイヌ語が語源とか。春に地中から伸びてきた芽は山のアスパラガスとも言われる高級山菜らしいです。私は食べたことがありません。時々山で見かけますが、いまのところルリタテハが利用しているのも見たことがありません。花や実の形はサルトリイバラに似ていますが、熟した実は黒くなるそうです。

シシンランはまさに深山幽谷の樹上に着生する貴重な植物です。私は自然のものは全く見たことがありませんが、紀伊半島産の挿し木増殖品（それも倒木からの入手）を購入して栽培しています。シシンランは、日本でも最も数が少ないと思われる蝶ゴイシツバメシジミの食樹です。こちらも単なる垂涎の的になっています。そういう雰囲気を味わうために栽培していますが、花が咲いたときは本当にうれしかったものです。栽培はそれほど難しくないようです。なお、“シシンラン”として一般に流通しているものは台湾や中国産で別種または別亜種のようで、次項に紹介しています。

ときどき園芸店の山草コーナーで見かける外国産のシシンランです。正式な種名は不明です。日本産は花に模様が無く質素ですが、こちらは模様があります。ゴイシツバメシジミはどちらでも食べるらしい。

コムラサキは、大阪市周辺では急激に数を減らしている蝶ですが、紫色に輝く翅が魅力的です。多くのヤナギ類を食べるようですが、大阪市周辺では、特にシダレヤナギを好むように思えます。シダレヤナギは簡単に挿し木で増やせます。最初、葉が枯れ落ちてしまいますが、すぐに新しい葉と根が出てきます。

クルミはナッツで有名で私も好きですが、日本の食用クルミのオニグルミの葉をゼフィルスの一種オナガシジミが食べます。オニグルミも淀川に生えているとのことですが、代用食となるシナサワグルミは大阪市あたりでは公園木や街路樹として広く植えられています。中国原産で、同類の日本のサワグルミは代用食になりません。公園などで葉の形と幹の荒れた肌を目安に探せば簡単に見つかると思います。サワグルミとの違いは、シナでは複葉の先の小葉がないものが多いこと、葉軸には狭い翼があることです。なお、実は見かけ上オニグルミとは全く異なりシナでは翼がありますが、この翼と皮を除くとまさにミニクルミです。更に割ってみると、ちゃんと食べられそうな部分（胚乳？）も出てきました。花は雄花と雌花がそれぞれ花穂を作ります。初冬に葉の落ちた跡を見ると動物の顔のように見えます。

シバハギは西日本各地に分布するといわれていますが、私は、タイワンツバメシジミを観察した宮崎県と種子島以外では見たことがありません。芝のように地面に張り付いた、ハギのような花の咲く植物という意味だと思います。残念ながら、タイワンツバメシジミが利用する花や若い実を見たことがありません。九州以外ではタイワンツバメシジミは絶滅状態といわれており残念です。

このシモツケは園芸種だと思います。服部緑地公園に植栽されたもので、写真に示すように、実際にホシミスジが産卵しました。また巣や蛹（飼育羽化）も見つかっています。近畿地方のホシミスジは、崖などに生えるシモツケ類を食べ年1化の系統と、おそらくユキヤナギやコデマリの植栽と共に他所から人為的に広まった2または3化（多化性）の系統がいます。大阪市周辺に生息しているものは後者です。ユキヤナギとシモツケはかなり近い仲間です。この園芸種のシモツケがどのような由来かは分かりませんが、多化性のホシミスジもシモツケを食べることが分かりました。なお、登山道などでよく見かける草にシモツケソウがありますが、どちらもバラ科で紛らわしいですね。（以前、多化性系統は中国由来といわれている、と書いていましたが、確証がない推測なので修正しました。遺伝子調査が待たれます）

シュクシャ（縮砂）は、大型のショウガ科植物で、ジンジャーともよばれます。ジンジャーはショウガの英語ですのでややこしいです。花はきれいなので、南国では花壇などに植えられることもあります。漢方薬の縮砂は、違う種類の植物（シュクシャミツ）の種子を乾燥して健胃薬に用いるのだそうですがネットだけではよく分かりませんでした。

ジュズダマは数珠玉で、昔は固くなった種子（正確には雌花を包む苞葉の鞘）で数珠を作ったそうです。私も子どもの頃はそのようなものを作って遊んだことがあります。古く渡来した帰化植物です。温暖化の影響でか、最近増えてきたクロコノマチョウの食草です。大阪市近辺でも水辺でたまに見かけます。

スゲ類は花が地味であまり目立ちませんが、気を付けて観察すると、路傍や山道の横にいっぱい生えています。葉の幅が3mm程度で、早春に花が咲くのがショウジョウスゲです。雄花が開く前の状態で赤く見えるためショウジョウスゲという名があります。猩々（しょうじょう）というのは植物名にたびたび用いられますが、赤い顔をした想像上の動物だそうです。

シリブカガシは、マテバシイとともにムラサキツバメの食樹です。両方ともマテバシイ属で近縁です。しかしシリブカガシは9月頃に花が咲き、この仲間としては変わっています。大阪市近郊では、マテバシイの方が人にも蝶にもよく利用されていると思います。ここでは、主として豊中市の服部緑地公園に植えられているものを紹介します。マテバシイとの区別は葉の裏に毛が多いことだそうです。このなかまとしては珍しく、9月頃に花が咲き、翌年の秋に実ります。そのため、花と果実が同居することになるそうです。

クローバーとよばれるシロツメクサは帰化植物でいろいろなところに生えていますが、多くの蝶に利用されています。シルビアシジミは大阪市では絶滅したようですが近隣地域ではシロツメクサを利用しているようで、大阪市での復活を願っています。モンキチョウ、ツバメシジミのページも参考にしてください。

ウスバシロチョウはムラサキケマンやエンゴサクの仲間を食します。ジロボウエンゴサクはその一種ですが、比較的低山で見かけます。ムラサキケマンより小さく、品があるように感じてしまいます。エンゴサク（延胡索）は中国名だそうですが、その語源は分かりません。ジロボウは次郎坊で、スミレの太郎坊（伊勢地方でそうよぶそうです）と、対となるのだとか。ムラサキケマンは大株になって少々の食害には平気だと思いますが、ジロボウエンゴサクはちょっとか弱い感じです。花の付け根に付いている苞葉は切れ込みがありませんす。近縁のヤマエンゴサクでは切れ込みがあり、3〜5裂です。